ナビ

代表ブログ・業界ニュース

ナビ
機能性表示食品

機能性表示食品のガイドライン改正のポイント(2017年12月27日付)

機能性表示食品のガイドラインが2度目の改正

2017年12月27日付で、機能性表示食品のガイドラインが改正され、ガイドラインの改正自体は今回が2回目となります。

1回目の改正は2016年の3月31日付での改正で、届出自体が紙媒体からデータベースへの移行となったという位置付けで、大きな改正でした。

前回の改正に比べると、インパクトのある改正内容はほとんどなく、既に周知されていた内容のガイドラインへの明文化がメインであったという印象を受けます。

なお、機能性表示食品が始まる時点で、制度は施行状況とともに見直しを行うこと、とされています。

2015年の『食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書』の中でも、「これまでの機能性表示制度とは全く異なる考え方の下に設計される制度であることから、施行後2年を目途に新制度の施行状況を検討し、その検討結果に基づいて必要な措置が講ぜられることを期待する」となっています。

さらに、同年に公表された『消費者基本計画』においても、「新たに施行される機能性表示食品制度については、施行状況の把握を行い、必要に応じて制度の見直しを行うとともに、残された検討課題についても施行後速やかに検討に着手する。」とされており、運用実態に応じて制度改善を継続していくことが掲げられています。

機能性表示食品制度がアメリカのダイエタリーサプリメントを土台にしているといっても、既に日本独自の制度となっていることは間違いなく、特定保健用食品と同じ仕組みでもありません。

したがって、行政としても、制度自体を実態に合った形に変更して、消費者にとっても事業者にとっても、さらには行政にとっても三方良しとなることが望まれています。

2016年検討会報告書と規制改革推進会議の内容

さて、現在この制度にはいくつか宿題が課されております。

宿題の出処としては「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」「規制改革推進会議」の二つがあります。

まずは、それぞれの背景について簡単にまとめてみたいと思います。

機能性関与成分の取扱い等に関する検討会における宿題

一つ目の「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」ですが、これは制度開始時に積み残しされた課題について検討するため、2016年に開催したものです。

検討会では、いくつかの課題について検討され、結果として、以下の内容を対応することとなりました。

  • 糖質、糖類について機能性表示食品制度の対象とする
  • 関与成分が不明確な成分について、機能性表示食品の対象とする
  • 非公開とされていた機能性関与成分の定性確認及び定量確認の分析方法を、原則公開とする

それぞれの対応について、以下にまとめておりますので、ご参照ください。

1. 糖質、糖類の取り扱いについて

主として栄養源(エネルギー源)とされる成分(ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ糖、乳糖、麦芽糖及びでんぷん等)を除いた糖質、糖類について、機能性関与成分となり得るものとすることが適当である。

具体的な要件については「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」において定めることとする。

機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会報告書」より一部引用

2. 機能性関与成分が明確でない食品の取扱い

機能性の科学的根拠の一部を説明できる特定の成分が判明しているものの、当該特定の成分のみでは機能性の全てを説明することはできない「エキス及び分泌物」について、機能性関与成分として取り扱うことが適当である。なお、科学的根拠が得られたエキス等と同等性が担保されていることが必要である。また、少なくとも1つの指標成分で表示しようとする機能性に係る作用機序が考察されている必要がある。

さらに、エキス等の品質保証は、同等性を担保することが基本であり、指標成分の定量確認だけでなく、形態学、分析化学(エキス等の定性的なパターン分析等)、分子生物学等の観点からの基原の保証が必要である。さらに、エキス等の精製過程の同等性の確認も必要である。

機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会報告書」より一部引用

3. 機能性関与成分の定性確認及び定量確認の分析方法の情報開示について

これまで非開示とされていた機能性関与成分の定性確認及び定量確認の分析方法は、原則公開とすることが適当である。ただし、最終製品から機能性関与成分を抽出する際の条件や分析機器の溶媒条件等、届出者等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある部分については、非開示資料として届け出ることとし、こうした資料は、消費者庁が分析を行う際に、必要な場合に守秘義務を課した上で分析機関に対し開示できるようにするのが適当である。

機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会報告書」より一部引用

上記の検討会における対応については、今回のガイドラインの改正内容には含まれておらず、今年の3月末〜来年3月末にかけて、複数回に渡ってガイドラインに反映される見込みです。

規制改革推進会議における宿題

次に、2017年に開催された規制改革推進会議でも宿題が出されているので、見ていきます。

そもそも、規制改革推進会議とは何なのか、ということで、規制改革推進会議の目的について見てみると

  • 新しい製品やサービスを国民が享受できるようにし、選択肢を増やす
  • 企業の創意工夫を生かす環境整備を行い、生産性を高める
  • 地域経済活性化の阻害要因を取り除く
  • 等が、挙げられています。

要するに、長年にわたって解決の方向性を見いだせずにいる、岩盤規制に対する規制緩和などを行うことが目的となっています。

そして、2017年の規制改革推進会議において、機能性表示食品制度に対して、出された答申が以下の内容です。

1. 運用改善目標の設定及び目標を実現する工程表の策定・公表

【平成 29 年度上期検討・結論・措置】

→既に対応済み

背景:機能性表示食品制度の届出手続について、消費者庁における届出の処理事務が大きく遅滞し、商品の発売時期など、事業展開上の予見可能性が損なわれている。かかる事務の遅滞を改善しなければ、制度が利用されなくなるおそれがある。したがって、機能性表示食品の届出手続について、事業者が書類提出後、不備指摘が行われるまでの所要日数について、運用改善目標を設定し、それを実現するための工程表を策定し、公表する。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

2. 届出書類の簡素化

【平成 29 年度上期に簡素化目標の設定、平成 29 年度検討・結論、平成 30 年度措置】

→来年の3月末までに対応予定

背景:機能性表示食品制度の届出手続について、届出書類が多くかつ煩雑であり、事業者における届出書類作成が容易でないことが、消費者庁における届出処理事務の遅滞の原因の一つとなっているとの指摘がある。

したがって、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に定める届出書類について、簡素化目標を設定する。その上で、関係者と連携の上、各書類の必要性及び申請者の負担などを考慮して簡素化の具体策を検討し、同ガイドライン及びデータベースへの反映などの措置を講ずる。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

3. 業界団体等との連携強化を通じた機能性表示食品届出手続の運用改善

【a,b:平成 29 年上期検討・結論・措置、c,d:平成 29 年度検討・結論、平成 30 年度措置】

→a,bは対応済み。c,dは来年3月対応予定

a 事業者からの質問の集約や事業者への情報発信を行う業界団体等の機能を活用 するため、業界団体等と消費者庁との間で情報共有などの連携強化を図る。

b 業界団体等からの質問・相談等に対応するため、専門窓口を消費者庁に設置する。

c 業界団体等による点検を経た届出書類について、消費者庁での確認作業が迅速に進む仕組みを構築する。また、機能性表示食品の届出に当たり業界団体等を利用できることについて、消費者庁のホームページなどで周知し、促進する。

d 届出済の機能性表示食品に軽微な修正のみの場合は、軽微修正の基準を明確にした上で、迅速な手続を実現する。

背景:機能性表示食品制度の届出手続を迅速にするには、事業者における届出書類作成を支援する仕組みを構築する必要があり、そのためには業界団体等の機能を活用することが有用である。また、既製品の軽微な修正に関する届出でも、新しい届出と同様の流れで確認を行っていることが、事務の遅滞の原因の一つとなっている。したがって、機能性表示食品の届出手続について、迅速化・効率化を実現する。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

4.「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の見直し及びQ&Aの策定・周知

【平成 29 年検討・結論・措置】

→既に対応済み

背景:「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の記述に難解な部分があることや、同ガイドラインの解釈に幅があることが、スムーズな届出書類の作成及び差戻しを受けた届出書類の修正の妨げとなっている。

したがって、業界団体と連携の上、事業者から問合せの多い事項などを反映するなど、ガイドラインを分かりやすく見直す。あわせて、届出書類において不備の多い事項などをまとめたQ&Aを策定し、消費者庁ホームページ等で周知する。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

5. 生鮮食品の機能性表示食品制度の活用促進

【平成 29 年度検討・結論、平成 30 年度措置】

→来年3月末までに対応予定

背景:機能性表示食品については、平成 28 年度末時点で 815 件の届出が公表されているが、そのうち生鮮食品は6件にとどまっている。届出手続自体が容易でないことに加えて、生鮮食品に含まれる成分が人体に有用な機能性を有していることを示す科学的な根拠の解明・収集、生鮮食品特有の成分量のばらつきを踏まえて有用成分について適切な機能性表示を行うための品質管理等、生産者だけでは取り組むことが難しい技術的な課題があることが届出件数低迷の理由である。このため、生産者に対する支援の充実などの施策が必要であると考えられる。

したがって、農協など関係者に対するヒアリングを行い、生鮮食品の機能性表示食品制度の活用促進のための施策を検討し、結論を得次第、必要な措置を講ずる。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

6. 18歳及び19歳の者を含むデータを届出資料として利用するための条件の周知

【平成 29 年上期周知、平成 29 年にガイドライン及びQ&Aに反映】

→対応済み

背景:臨床試験の参加者及び研究レビューの対象となる臨床試験に係る対象者に18歳及び19歳の者を含むデータを届出資料に記載する場合、それらの者を含むことの妥当性も合わせて記載されていればよいこととされているが、そのことを周知するとともに、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」及び新たに作成するQ&Aに反映する。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

7. アウトカム評価項目を疾病とする観察研究をデータとして用いる場合に認められる機能性表示の表現の明確化

【平成 29 年検討・結論・措置】

→対応済み

背景:観察研究を機能性の科学的根拠とする機能性表示食品はこれまでのところ存在しない。その原因として、アウトカム評価項目を疾病とする観察研究を機能性の科学的根拠として使用しようとしても、その機能性をそのまま機能性の表示に用いると、機能性表示制度が認めていない疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現となってしまうという問題が指摘されている。そこで、アウトカム評価項目を疾病とする観察研究を科学的根拠とする場合において、健康の維持及び増進の観点から許容される機能性の表示の表現方法を明らかにする必要がある。

したがって、アウトカム評価項目を疾病とする観察研究を届出資料として用いる場合に認められる機能性表示の表現方法について、業界団体等と検討し、機能性表示食品のQ&Aで周知する。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

8. 機能性表示食品制度における軽症者データの取扱範囲の拡大

【平成 29 年度検討、平成 30 年度結論・措置】

→来年3月末までに対応予定

背景:「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」において、臨床試験の参加者及び研究レビューの対象となる臨床試験に係る対象者は、原則として疾病に罹患していない者とされているが、特定保健用食品の試験方法として記載された範囲内においては、軽症者が含まれるデータを使用できることとされている。しかし、その範囲が限定的に過ぎ、使用できるデータが少ないため、事業者が多様かつ有用なデータを機能性の根拠とすることができない。

したがって、臨床試験の参加者及び研究レビューの対象となる臨床試験に係る対象者に軽症者を含むデータの取扱いに関し、現在、特定保健用食品制度の試験方法として可能とされている範囲(コレステロール、中性脂肪、高血圧など)にとどまらず、アレルギー、尿酸値、認知機能等についても、機能性表示食品の届出資料としての利用を可能とすることを調査事業を通じて検討し、その結果を踏まえ、使用可能なデータの境界域を公表する。

平成29年5月23日 規制改革推進に関する第1次答申」より一部引用

以上、8つの要望が出されている中で、すでに複数の要望に着手しており、今回のガイドライン改正で、6番目の課題(18歳及び19歳の者を含むデータの取り扱い)への回答が反映された、ということです。

主なガイドライン改正のポイント

さて、ガイドラインの改正の背景について一通りみたところで今回の改正のポイントについて見てみます。

今回、改正された内容としては、軽微な文言の修正も多いですが、ガイドラインに追加された主な点について4つほど挙げてみますと

  • 18歳と19歳のデータの取り扱いについて
  • 掲載される論文雑誌について
  • 定性分析と定量分析について
  • 研究レビューにおけるtotallity of evidenceに関する考察

があります。

それぞれ細かく見ていきます。

18歳と19歳のデータの取り扱いについて

そもそも、2017年6月29日付の「機能性表示食品制度における届出資料として利用するための臨床試験データについて」にて「18歳及び19歳の者を含むことについて適切に考察されている場合は、一律に18歳及び19歳の者が含まれる届出資料を対象外とはしていません。」となっています。

ですので、18歳以上のデータ自体を用いることについては、研究レビューにおいても、成人との同等性が確保できているならば、問題ないということになります。

今回のガイドラインの改正では、臨床試験の参加者として18,19歳を含める場合に、以下の文言が追記されています。

追加された文言「18 歳及び 19 歳の者を含むことについて、食事摂取基準を参考に、医学的、栄養学的な観点から、成人と同等であるかを適切に考察すること。また、倫理的観点からも問題がないかについても適切に考察すること。」

2017年12月27日付 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」より一部引用

こちらの内容については「機能性表示食品に関する質疑応答集」でも回答されており、既出の内容がガイドラインに追記された、という形になります。

なお、今回のガイドラインでは、"倫理的観点からも問題がないかを適切に考察する"と新たに追記されていますので、新たな臨床試験に18歳の未成年を参画させるならば、倫理的な側面からも注意する必要がある、ということです。

掲載論文の条件について

機能性表示食品の論文は、査読付きであることが条件となっていますが、今回の改正により、論文の投稿先に関する条件が加えられました。

追加された文言「臨床試験の結果に関する論文の投稿先は、査読の方針及び標準査読期間を公開しているなど、査読の透明性が高い雑誌であることが望ましい。」

2017年12月27日付 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」より一部引用

論文の投稿規定については、医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors:ICMJE)が「生物医学雑誌への統一投稿規定」というものを公表しています。

その中で「査読に回される原稿の数および種類、査読者の数、査読の手順、査読者の意見の用い方はさまざまである。透明性を確保するためにも、各誌は 「投稿規定」 において、査読についての方針および標準査読期間を公開するべきである」と規定されており、今回のガイドラインの改正は、ICMJEの規定を参考にしているものと考えます。

なお、現在「生物医学雑誌への統一投稿規定」は「医学雑誌における学術研究の実施、報告、編集、および出版への推奨」と改名されています。

ガイドラインに話を戻すと、「臨床試験のスポンサー・共同スポンサー及び利益相反に関する情報を明確にし、透明化することが求められる。」とありますが、これは論文作成側に課せられているものです。

利益相反の情報に関しては、ガイドライン中でも触れていますが、スポンサーや資金源などは研究レビューでも記載する必要がありますが、臨床試験の論文自体の質についても言及された、ということです。

なお、投稿規定について届出資料に出てくる雑誌を見てみると「査読期間は概ね2週間~1カ月が目安となります。」と言ったものや「投稿論文の掲載の可否については編集委員会が決定する。」と言った形で書かれているものもあります。

また、ある雑誌では「新規性があり,倫理的に問題がなく掲載に適すると編集委員会で判断された論文を掲載します。標準的な査読期間は約2~3週間で,審査結果は速やかにお知らせし,採択後約 1 カ月で掲載されます。」と、ガイドラインの改訂内容が網羅されています。

なんにせよ、これから論文投稿を行う場合には、投稿規定がガイドラインに沿っているかをきちんと確認してから投稿する必要があるでしょう。

定性分析と定量分析について

分析の資料については、今までは定量分析の資料が必須とされておりましたが、今回の改正により、定性分析の資料についても、添付が必要となっています。

追加された文言「定性の必要がある機能性関与成分の場合は定性試験の分析方法を示す資料(届出者において試験機関の標準作業手順書を入手できる場合は当該標準作業手順書、標準作業手順書を入手できない場合は操作手順や測定条件などできる限り試験方法について具体的に記載した資料)を添付する。」

2017年12月27日付 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」より一部引用

定性分析が必要であるかどうかは、関与成分ごとに異なりますが、基原植物が複数ある場合や、同じ成分名でも、分子構造が異なるものがある場合などにおいては、定量分析に加えて、定性分析結果も添付する必要が出て来ます。

今後、分析資料は原則として公開することが検討会によって決まっていることからも、分析資料については、精確性だけでなく情報開示までも求められています。

分析が適切にされるのは当然ではありますが、その情報が公開されることは、分析機関にとっては、大きな悩みのタネともいえるでしょう。

分析機関にとって、測定方法に関して全ての情報を開示することは、他の分析機関で容易に測定が可能になってしまう、という側面もあり、ノウハウなどの独自性が保たれなくなると、競争優位を保つために価格のみで勝負しなければならない、ということに繋がっていきます。

もちろん、情報をオープンすることにより、透明性が上がるというメリットもありますが、分析機関としては、情報公開によるデメリットも多いように感じます。

どちらかというと、消費者庁が分析を行う際に、必要な場合に守秘義務を課した上で分析機関に対し開示できる仕組みづくりを確立することが重要で、必要に応じて情報開示ができるように徹底することが課題ではないでしょうか

どちらにせよ、分析機関に過度な負担となり、その結果情報公開するなら分析しない、といった事態になることを避けられるシステムになることが望まれます。

研究レビューにおけるtotallity of evidenceと特定保健用食品制度について

追加された文言:「totality of evidence」の観点からの判断については、表示しようとする機能性について総合的に肯定されるとの判断をするに至った合理的な理由を届出資料に具体的に記載すること。

なお、本ガイドラインにおける「臨床試験」は、「特定保健用食品の表示許可等について」の別添2「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」で規定する「ヒトを対象とした試験」と同意とする

2017年12月27日付 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」より一部引用

これまでのガイドラインにおいても、臨床試験を実施する場合にはトクホの制度に準拠する旨が含まれていますが、研究レビューにおける臨床試験についても、特定保健用食品と同等のものである旨がガイドラインに追記されています。

また、システマティックレビューの観点から言うと当然である「totality of evidence」についても、どのように肯定的と判断したかについて記載するよう、改めてガイドラインに追記されています。

さらっとした追加ではありますが、研究レビューに関して、ガイドラインに追記されたことで、改めてトクホ基準の内容が求められていることが強調されています。

今後の制度改正とスケジューリング

さて、今回の改正においては、検討会における宿題である

  • 糖質・糖類の取り扱いについて
  • 関与成分が不明確な成分について

に関する改正はありませんでした。

これからのスケジュールとして、いくつか重要事項が残っています。

  • 糖質・糖類について機能性表示食品制度の対象とする
  • 関与成分が不明確な成分について、機能性表示食品の対象とする
  • 非公開とされていた機能性関与成分の定性確認及び定量確認の分析方法を、原則公開とする

これらのうち、まず初めに、今年の3月末に糖質・糖類が、機能性関与成分として新たに加わることが予想されます。

消費者庁の次長も「年度末をめどに準備を進めている」と話していることからも、今年3月末にはまたガイドライン改正が行われることでしょう。

その後のスケジュールとしては、

  • 関与成分が明確でないものの追加
  • 軽症者データの使い方
  • その他検討課題

これら残りの課題が来年3月末までに何かしらの対応がされることになります。

機能性表示食品の制度自体はこの数年間で整備が進んできましたが、運用自体は今後も流動的に変わっていくことが予想されます。また、今年から来年にかけて、ガイドラインや届出様式自体にも大きな修正が行われる予定です。

機能性表示食品の届出をスムーズにする上でも、現時点での行政対応と、今後どのような運用となっていくかを正確に予測していくことが、より重要となってくるでしょう。

このページのトップへ