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機能性表示食品

機能性表示食品と海外進出へのポイント

海外展開を見据えた機能性表示食品の未来

近年、機能性表示食品の開始による新商品開発や「爆買い」などによるインバウンド需要がありました。しかし、去年インバウンド市場が一旦落ち着きを見せるなど、楽観視ばかりできる状況でもありません。

今後は、機能性表示食品制度に対応できる体制や海外進出への拡充を図るといったことが求められてきます。

今回は、受託企業の機能性表示食品への取り組み、さらには「アウトバウンド」として海外進出を図るといった、新たな収益確保に向けての動きも含めて着目し、一つ一つ見ていきいきたいと思います。

  • 受託企業の対応
    1. 設備投資・人材確保
    2. 差別化のポイント
    3. 海外との連携
  • 海外市場と越境EC
  • 海外進出への道のり
  • 日本と世界を見据えた戦略

受託企業の対応

まずは、受託企業の機能性表示食品や海外進出への取り組みについて見ていきます。

1.設備投資・人材確保について

現在、各企業において、海外進出のために設備投資が積極的にされていますが、設備投資について積極的に取り組まれているのが、cGMPへの対応や、ハラル認証など海外への対応を踏まえた品質確保です。

また、試作品や処方開発の細かい要望に対応するための新たな剤形・製剤ラインの拡充などを各社が進めており、近年注目されているスーパーフードに対応している企業も増えています。

次に人材の確保ですが、どの業界でも人手不足は問題となっています。それは受託製造業界においても同様で、幅広く増える業務に対応できる人員確保に苦心しているようです。

現在、製造所固有記号制度の施行など法改正により、新たに必要な業務が増えてきており、また、それに伴う個別の販売会社への対応に追われるといったこともあります。

さらには、専門職として管理栄養士や薬系・食品系経験者、そして外国語ができる人材も求められています。海外展開に向けて、各国の制度や事情に精通した専門家との連携も含めて、優秀な人材の確保をどのように行っていくか、これからの課題となってくるでしょう。

差別化を図るために

これまでは包装・パッケージの関連法規チェックのサポートや、コスト面での調整などで差別化を図り受注につなげていた企業も、同じようなサービスを提供する企業数が多く、差別化が図り辛くなってきています。

機能性表示食品の制度が始まったことにより、原料サプライヤーが届出支援や製造などのアドバイスをすることが差別化のポイントとなり、受託企画企業としての役割を果たすことが、他社へのアドバンテージを取る手段になっています。

既に機能性表示食品の受理企業数も200を超えて、トクホ受理企業数を上回っています。今後、ますます機能性表示食品が増えていくことを考えると、これまでの営業方法から、新たに機能性表示食品を全面サポートできる企業へと業態を変えていく必要性が出てきているように思われます。

海外との連携

受託企業の取り組みとして、中国・韓国・台湾やタイ・インドネシア・ベトナム・シンガポール・などのアジア地域へ展開する販売会社向けの製造が年々増えています。

企業によっては、現地に事務所を構えてスタッフを置き、現地工場との密な連携を取り、設備拡充の指導などを行うことで、関係性を高めて受注を確保するという動きも活発化しています。

現地の原料を使用して開発コストを抑えつつ、安全性や品質保証は日本で実施して、品質を担保することも行われており、海外との連携をいかにスムーズに、スマートにできるか、といったことも今後の企業活動において重要なポイントになるでしょう。

最近では参入企業も増えており、これから海外での収益確保に向けた競争になっていく可能性があります。機能性表示食品制度と海外展開により、今まさに転換期を迎えようとしています。

海外市場と越境EC

海外に日本の食品をアピールする、その前提としては日本の製品(全体)の品質が良いと認識されていることが重要になってきます。

メイドインジャパンという言葉が長く使われてきたように、ジャパンというブランドは既に海外からも認められており、それが近年の爆買いにもつながっているのでしょう。

爆買いが一旦沈静化したといっても、海外市場はなお目覚ましいものがあります。その一つに越境ECがあります。

PayPalが3月に公表した「越境ECグローバル調査2016」では、主要32か国における2016年のEC市場の合計額は約160兆円と報告されています。国別の市場規模で上位5カ国は米国、中国、日本、英国、フランスの順で、米国と中国でEC市場全体の約60%を占めるなど、既に大きなマーケットが築かれているのです。

今後インターネット人口の増加やインフラ整備によってさらなる市場拡大が予想されており、日本としてもこの市場をどのように活用できるか、が重要になるように思われます。

越境EC市場トップである中国の市場規模は約7兆1000億円であり、購入先の国別ランキングは、日本と韓国が同率で1位となっています。なお、日本から購入する理由としては、「商品の品質」(59%)「ショップへの信頼性」(40%)が上位に入っており、日本ブランドへの信頼感が結果に結びついていることが読み取れます。

ただし、日本ブランド、というだけで商品が売れていく時代ではありません。ただ良い商品を作るだけでなく、いかに新たな付加価値をつけていけるか、という課題もあります。そして、その付加価値の一つに機能性表示食品があります。

海外進出への道のり

海外企業から機能性表示食品制度への関心は高く、制度の認知度は徐々に向上しています。しかし、日本から有望な輸出先となるアセアン市場には、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(Food Standards Australia NewZealand: FSANZ)なども進出意欲を見せています。

海外に進出することは、今まで国内でのシェア争いから、欧米も含めた世界のメジャー企業と戦うことになるので、一朝一夕で、というわけにはいきません。長期的な戦略が求められてきます

日本ブランドということも重要ですが、それだけでは世界と戦うには心もとないものです。

機能性表示食品制度で受理されたから、海外でも認められるというわけにはいきませんが、機能性、安全性、製造管理などをまとめて国に申請している点では、日本のブランド力にプラスして戦う武器になるはずです。

そういう意味でも、機能性表示食品として販売することは、海外へアピールする試金石となり、海外進出を目指す企業にとって、登竜門的な側面も持つでしょう。

日本と世界を見据えた戦略を

今回見てきた、日本から海外への輸出を目指す動きの背景には、日本の人口が減少化時代に突入し、国内需要だけでは頭打ちになってしまうという背景もあります。

これからは、国内でシェア争いをするだけではなく、ジャパンブランドとして海外へ向かう戦略も必要になってきます。しかし、機能性表示食品制度自体も国内でまだまだ認知されていない現状もあり、全てが順調にいくものでもないと思います。

ここで大事なこととしては、日本と海外を別物と考えるのではなく、一つ一つのプロセスを地続きで考えることではないでしょうか。

まずは、機能性表示食品での受理を行い、日本での地盤を固めながら、海外を狙うために、各国の制度や事情に精通した専門家を交えて、開発から販売プロモーションまで踏まえた戦略を持つことができれば、それは長期的な成長に繋がるはずです。もちろん、すぐに結果が出ることもあれば、なかなか結果に結びつかない活動も多いでしょう。

しかし、新しいプラン・戦略を実行にはまだまだ遅くはなく、芽をまく作業はやがて安定した大きな収穫に繋がります。機能性表示食品の受理までの道のりを含めて、その先も見据えた長期的目線で、日本から世界を一つのストーリーとして描けるか、といったことが重要になってくるのでしょう。

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