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機能性表示食品

機能性表示食品が900品突破。これまでの振り返りと今後の流れ

2015年の4月に機能性表示食品の制度が始まってから、機能性表示食品の商品数は着実に増え、6月6日現在で943件となりました。また、届出撤回製品も増えて、27品となっています。

制度開始から、2年弱で900件に

機能性表示食品の制度が開始された2015年4月から2年弱で900製品を超えました。届出の受理件数を見ても、2016年度は前年度より総届出数が倍になっており、2016年度だけで620製品の届出が受理されています。

また、月ごとの受理件数としては、2016年11月に月48件の受理件数だったのが、2017年3月には82件と大幅増となっています。

最近は、またペースが少し落ち着いていますが、あと1ヶ月程度で受理件数は1,000件を越えることになるでしょう。

届出受理企業の割合としては、年商3億円未満の中小企業が50%を超えている結果となっています。

これは、トクホと比較して、臨床試験や安全性試験を既存資料を用いることが可能で、機能性表示食品が低予算・短期間で届出できることが主な理由と考えられます。

多くの企業にとって取り組みやすい制度だということは、このような結果として現れています。

また、届出者の所在地として、東京、大阪、愛知で600件以上となっており、6〜7割を占めていますが、その他3割は32道府県からの届出となっており、首都圏以外でも分散して届出がされています。

機能性表示食品の開発は、各自治体の助成金や補助金の対象になる場合もあるため、これらの助成金制度などを活かして、コストを抑えながら、取り組む企業も増えてくるのだと考えます。

カテゴリー別では、上位勢に大きな変動はなし

今までに届出された機能性表示食品の表示内容について、主なものを見てみると(6月6日時点)

  • 中性脂肪の上昇抑制:183製品
  • 血糖値の上昇抑制:124製品
  • 整腸関連:120製品
  • 体脂肪の減少:100製品
  • 肌機能のサポート:88製品
  • 血圧のサポート:84製品
  • 眼機能のサポート:77製品
  • 関節のサポート:56製品
  • 記憶の精度を高める:52製品
  • ストレス・緊張の緩和:50製品
  • 睡眠の質の向上:38製品
  • 疲労感を軽減:37製品
  • 骨の健康維持:35製品
  • コレステロール値を改善:24製品
  • 筋肉をつくる力をサポート:9製品

となっています。

上位には、メタボ関連の機能が多い中、整腸機能が徐々に商品数を増やしており、今後は血糖値を抜かして、2番目に多い商品数になる見込みです。

その次に「肌」や「血圧」「眼」に関する機能が、引き続き商品数を伸ばしている状況です。

なお、表示しようとする機能性としては、カテゴリーが同じ商品が増える傾向にあり、新たな機能性についてはなかなか出にくい状況が続いています。

今後、新たな機能性の表現はどこまで増えるのか

今後、どのような新しい機能性が認められるかについては不明点も多く、来年改訂予定のガイドラインもしくはQ&Aでは、機能性の表現に関する細かい規定ができる可能性もあります。

では、現在表示できている機能性以外にどのような機能性が言えるのか、という点ですが、例えばアメリカのダイエタリーサプリメント制度では、以下のような文言があります。

  • 免疫機能を刺激して強化し、免疫機能を維持するのに役立ちます。
  • 健康な前立腺を維持するのに役立ちます。

これらはダイエタリーサプリメントの構造・機能強調表示として届出されていますが、同じように「健康的な免疫機能を維持します」という表示を機能性表示食品でも出来るかと言うと、そう単純な話ではありません。

機能性表示食品のガイドラインでは、認められない表現例に「限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現」が含まれています。また、臨床試験における免疫機能の評価指標はどのように設定するのか?という点もあります。

これは、免疫機能に限ったことではなく、全ての機能性において共通する課題となります。

どのような表示ができるのか?というのは「制度上で認められている範囲」と「どのような臨床試験が行われているか」という機能性エビデンスによって制限されるからです。

機能性表示食品の届出においては、臨床試験の論文があったとしても、使えない場合も多く存在し、それは、新たに臨床試験を行った場合でも同様です。

多額の費用をかけて臨床試験を実施しても、その機能性が受理されない可能性もある、ということです。

もちろん、血糖値や血圧などの基準が明確な機能性については、適切に実施されていれば受理される可能性が高いです。

しかし、新たな機能性をうたいたい、という場合には、臨床試験の評価指標の設定など、考慮しなければならない点が多く、臨床試験を実施する前に、本制度に適しているかを慎重に批判的吟味する必要があります。

研究レビューにおいても、同様のことが言え、どれだけ批判的吟味をしっかりと行うことができるかで、届出が受理されるか、受理された後も問題が起きないか、ということが決まってきます。

機能性表示食品制度の振り返り

ここで、機能性表示食品制度の歩みについて、簡単に振り返ってみたいと思います。

機能性表示食品制度に関する出来事
年月 内容
2013年2月 規制改革会議に「一般健康食品の機能性表示の容認」が発議される
2013年6月 安倍内閣総理大臣がスピーチ「健康食品の機能性表示を解禁します」
2013年6月 規制改革実施計画「いわゆる健康食品等の機能性表示の容認」「食の有する健康増進機能の活用」が閣議決定
2013年12月 「食品の新たな機能性表示に関する検討会」開催(2013年12月〜14年7月)
2014年7月 「食品の新たな機能性表示に関する検討会」報告書公表
2015年3月 機能性表示食品制度 届出に関するガイドライン公表
2015年4月 機能性表示食品制度がスタート
2015年6月 消費者庁が「機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項について」作成
2015年9月 消費者庁が「機能性表示食品の届出書作成に当たっての確認事項について」作成
2016年1月 「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取り扱い等に関する検討会」スタート
2016年3月 届出に関するガイドラインが改正
2016年3月 機能性に関する科学的根拠の検証として「届け出られた研究レビューの質に関する検証事業報告書」を公表
2016年4月 機能性表示食品の届出データベースが実装。
2016年12月 「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱いに関する検討会」報告書公表
2017年5月 規制改革推進会議「規制改革推進に関する第1次答申」公表

制度の現状と今後の流れ

制度の現状としては、5月23日に規制改革推進会議による答申が公表されております。内容の詳細については、また別途取り上げます。

最近では届出から差し戻しまでの期間が短くなっており、一時期は92日間かかっていた日数が3月末時点では52日にまで短縮されています。

このスピードが維持されるか、さらに短縮されるのか、については不明ですが、規制改革推進会議の答申の内容を踏まえると、届出処理の迅速化については、継続して取り組まれることでしょう。

今後はガイドライン改訂がいつになるのか、と同時に、答申への対応がどのような内容になるのか、いうことも注目です。

また、今後の方向性としては「届出の迅速化」と「事後チェックによる検証」がポイントになってきます。現在、届出製品の撤回が20製品を超えており、これからも事後チェックにより、その数は増えていくでしょう。

では、企業としてどのように取り組むか、というと、「届出資料を適切に作成する」とともに、「受理された後も届出内容に沿って適切に製品管理を行う」という、極めて当たり前のことをきちんと行うことです。

この制度の特性上、今まで以上に当たり前のことが適切に成されているかどうかが、重要になってきます。

2年を経過して、制度全体の動きも明確になってきました。来年にかけて、ガイドライン改訂など、また大きな変化が起こってくるでしょう。

弊社としても、制度の変化への対応を含めて、より多くの方々のお役に立てるように引き続き努めてまいります。

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