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機能性表示食品のガイドラインQ&Aまとめ(機能性)について

機能性表示食品のQ&A(機能性)まとめ

9月29日に「機能性表示食品に関する質疑応答集」(平成29年9月29日消食表第463号)(消費者庁食品表示企画 課長通知)が公表されました。

そこで、今回は、この質疑応答集についてまとめたいと思います。 QA自体は、いくつかの項目が分かれていますが、今回は機能性の根拠についてまとめていきます。

なお、実際のQAの順番とは異なりますが、元の番号を記載しますので、参照する際に使用ください。

肯定的な結果とは、どのような結果をさすのか

機能性における肯定的な結果の考え方について①

Q:ガイドラインの用語集において、「本ガイドラインにおける「臨床試験」は、「特定保健用食品の表示許可等について」(平成 26 年10 月 30 日付け消食表第 259 号消費者庁次長通知)の別添2「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」で規定する「ヒトを対象とした試験」と同意。」とあるが、機能性については、試験食摂取群とプラセボ食摂取群との群間比較の差(有意差検定)で評価する必要はあるか。(問31)

A:最終製品を用いた臨床試験を科学的根拠とする場合は、特定保健用食品と同様に試験食摂取群とプラセボ食摂取群との群間比較により肯定的な結果が得られる必要がある。研究レビューを科学的根拠とする場合は、レビューワーが適切に判断することが前提なので、研究レビューに前後比較の論文を含めることは差し支えないが、前後比較での有意差しかみられない論文のみでは、機能性の科学的根拠として不十分であるため注意する必要がある。

解説:このQAの内容では、肯定的な結果とは、「プラセボ群との有意差が見られること」と言っています。

すなわち、臨床試験の結果では、前後値の比較だけでは不十分であり、プラセボ群との有意差が見られていなければ、肯定的な結果の論文とはみなさない、ということを示しております。

なお、機能性表示食品のガイドライン上では研究レビューの内容について

・表示しようとする機能性について肯定的と判断できるものに限り、機能性表示食品の機能性に係る科学的根拠になり得るものとする。

・研究レビューの結果、査読付き論文が1本もない場合又は表示しようとする機能について、査読付き論文がこれを支持しない場合は、機能性表示を行うための科学的根拠が十分ではないとみなし、機能性表示を行ってはならないものとする。

と定義しております。

したがって、研究レビューを用いる場合には、

・査読付き論文1報以上

・プラセボ群との有意差がみられる

これが、機能性の根拠としての最低条件となります。

また、研究レビューにおいて、複数の論文があり、それぞれの評価が異なる場合には、どのような判断をすべきか次の質問で確認していきましょう。

機能性における肯定的な結果の考え方について②

Q:定性的研究レビューにおいて、「totality of evidence」の観点から、表示しようとする機能性について肯定的と判断できるかどうかは、必ずしも肯定的な研究の数(論文数の割合)が肯定的でないものより上回る必要はないとの認識で差し支えないか。(問39)

A:差し支えない。ただし、肯定的な論文の数が否定的な論文の数よりも少ない場合は、その数の差を覆す評価を行った合理的な理由を詳細に説明する必要がある。

解説:この内容では、論文が複数ある場合には、肯定的(プラセボ群との有意差がみられる)な論文の数が否定的(プラセボ群との有意差がない)な論文に比べて多いか少ないかで判断するだけでなく、その論文の質を考慮して判断する、ということです。

当然といえば当然ですが、メタアナリシスを用いない場合には、定量化できる情報が少ないため、論文数の大小で判断せざるを得ない部分もあります。

ただし、逆に考えると、肯定的な論文がいくら多くても質が低く、否定的な論文に重要な意味がある場合もあります。

したがって、論文数に加えてバイアスリスクや非直接性、不精確などを考慮した形で総合的に判断することが、本来のシステマティックレビューの意味からしても、重要なことと考えます。

層別解析の結果について

Q:最終製品を用いた臨床試験において、層別解析した論文の結果を科学的根拠として届け出ることは可能か。(問34)

A:機能性の科学的根拠として査読付き論文を求めている理由は、当該論文の内容の適正さが査読者によって担保されていることにあるため、層別解析をする場合、層別解析した結果について査読がなされていることが必要である。したがって、「最終製品を用いた臨床試験」においては査読付き論文中で適切に層別解析がなされている場合に限り、科学的根拠として届け出ることは可能である。

解説:これは、機能性の根拠全体にも言えることですが、査読付き論文として記載されていることが重要で、論文に記載されていない内容については、層別結果として使用できない、ということになります。

関与成分の同等性に関する考察について

Q:機能性関与成分に関する研究レビューを行う場合、届出しようとする食品と評価に用いた論文で使用された食品の同等性についてどのような考察が必要か。(問41)

A:機能性関与成分にもよるが、機能性関与成分そのものの同等性として、機能性関与成分の基原や製造工程等の同等性の考察、最終製品に含まれる機能性関与成分としての同等性として、食品形態の違いによる消化・吸収過程の違いについての考察及び崩壊性試験や溶出試験等による製剤学的な考察が考えられる。特に、機能性関与成分の基原が異なる場合や食品形態が異なる場合は、届出資料において、機能性関与成分の同等性について十分に考察する必要がある。

解説:機能性関与成分の同等性については、製品の分析データも含め、色々と注意しなければいけません。

成分の基原が異なる場合はもちろん、食品形態が異なることで、体内動態が異なる場合もあります。

採用論文に記載された関与成分と実際の製品に含まれる関与成分について、基原植物や1日摂取目安量や摂取方法が同等であるかを調査するとともに、論文と食品形態が変わる場合には、体内動態に関する論文などを参考にして、届出資料をまとめることが重要となります。

対象者に関するQAについても、いくつかあるのでまとめて見てみましょう。

対象者の考え方について

海外における臨床試験のデータの考え方について

Q:海外で行われた研究で、海外における健常者の考え方がガイドラインにおける疾病に罹患していない者の考え方と異なる場合、海外において健常者であると確認することができ、日本人への外挿性があるものであれば、研究レビューに用いることは可能か。(問42)

A:疾病に罹患している者を含む論文については、最終製品を用いた臨床試験の査読付き論文や研究レビューの採用論文とすることはできない。なお、ガイドラインにおいて、「疾病に罹患していない者とは、境界域までの者をいう。例えば、診断基準で軽症以上と判定される者は該当しない。」としており、境界域の者の判定については、当該疾病についての診断基準において、境界域と判定される者は疾病に罹患していない者と扱う。診断基準において軽症以上と判定される者は該当しない。

解説:この内容としては、海外の論文において健常者と見なされている場合でも、日本の疾病基準に入る場合には、疾患に罹患している者と判断される、ということです。

血圧でいうと、収縮期血圧が140mmHg以上の人が入っていれば、それは軽症域以上と判定されるため、対象者とはできないということになります。

18,19歳のデータの考え方について

Q:臨床試験の参加者及び研究レビューの対象となる臨床試験に係る対象者に 18 歳及び 19 歳の未成年者が含まれた論文を使用することは可能か。(問29)

A:ガイドラインに記載のとおり、臨床試験の参加者及び研究レビューの対象となる臨床試験に係る対象者の考え方については、原則として未成年者を除くこととしている。本制度は、機能性の科学的根拠として適切な資料を事業者の責任で届け出ることができるものであり、18歳及び19歳の者を含むことについて適切に考察されている場合は、18歳及び19歳の者が含まれる届出資料は対象となり得る。18歳及び19歳の者を臨床試験の対象者に含めることについて、対象者に占める18歳及び19歳の者の割合や食事摂取基準等を参考に、医学的、栄養学的観点から、成人と同等であるかについて考察すること。なお、国内で実施する臨床試験については倫理審査委員会による承認が必須となっているため、未成年者を臨床試験の対象者とすることについて、倫理的観点から問題ないかについても考察すること。

解説:こちらは、既に通知『機能性表示食品制度における臨床試験の参加者及び研究レビューの対象となる臨床試験に係る対象者に18歳及び19歳の者が含まれる場合の考え方について(平成29年6月29日)』でも回答済みでしたが、再度QAにおいても明示されました。

18歳以上の被験者を用いた試験は意外と多いですが、そのデータについて、20歳以上の成人と医学的、栄養学的観点から同等性があると判断された場合には使用できる、ということです。

医学的、栄養学的観点から成人と同等であるかについては、食事摂取基準等を参考に、となっております。なお、『日本人の食事摂取基準(2015年版)』では、1-4.年齢区分という項目において、「1~17歳を小児、18歳以上を成人とする。」と記載されております。

これらの資料を参考に、届出資料において、18歳が含まれていても問題ない旨を記載することが必要となります。

以上、まだまだQAは残っておりますが、まずは機能性エビデンスについておいて重要と思われる内容についてまとめておきました。

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