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機能性表示食品

「新たな機能性表示食品制度ってどうなの?」参加レポート(2)

今回も、前回に引き続き、「新たな機能性表示食品制度ってどうなの?」シンポジウムの参加レポートについて、お伝えします。


今回は、登壇者の意見後半戦として、3名の方の意見をお届けします。


戸部氏の意見(公益財団法人 日本消費生活アドバイザー)

私たちの食生活と機能性表示食品

我々は、食生活において、規則正しい生活、理想的な食生活を送ることが難しいという現実がある。保健機能食品(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品)は、よりよい食生活を目指す消費者にとって選択肢の一つになるであろう。


ただし、制度に則る以上、客観性、公平性、安定性が求められる。しかし、消費者の認識や市場の変化、想定と実態とのギャップに対して、どのように検証し、見直していくかが課題となる。

保健機能食品は食品であるため、効果に伴う副作用があってはいけない。機能の評価と解釈するのも難しい。だから、効果に関する試験結果と広告表現の違いが問題になる。


届出にあたり、臨床試験の登録や研究レビュー(システマティックレビュー)が必要とされるのは、安全性の確保と機能性を確認するためである。特に、安全性については適切にレビューし、商品のパフォーマンスに反映しなければならない。

機能性表示食品の安全性、機能性だけでなく、使われ方、使用実態などの検証も必要である。この制度が人々の健康に寄与できているのか、市販後に検証するしくみを整えることが急がれる。

 

小島氏の意見(毎日新聞・生活報道部編集委員)

排除メカニズムがいかに働くかが鍵

機能性表示食品が誕生した背景には、安倍首相の成長戦略があり、これだけ見ると事業者寄りの制度であるように見える。

しかし、いわゆる健康食品において、機能性が表示できないため、機能性を匂わせるキャッチーな広告表現を使って販売してきた。そこで起きたのが誇大な広告表現の問題である。


「肌に潤い」と表示されると、消費者は「肌に潤いをもたらす効果があるもの」と認識してしまうが、実際にそのような効果があるとは書かれていない。

また、大量にある健康食品から粗悪な健康食品を見分けるのは容易ではない、という問題もある。


このような面から判断すると、今度の機能性表示食品制度は、一定の科学的な根拠がある場合に表示されるので、粗悪品を見分けるのに役に立つ。

質が高い健康食品は生き残り、粗悪な健康食品が市場から排除されるというメカニズムが働けば、消費者のメリットになる制度となる。


そのためには、客観的で科学的な情報を消費者が知っていることが前提となる。しかし、どのような方法で粗悪な健康食品かどうかを消費者に提供するのかが難しい課題である。

事業者は、自社の製品を悪く言うことは難しい。メディアとしても、どの商品が良い、悪いという情報を提供することはあり得ない。


そうなると、第三者機関が市場に出回る機能性表示食品を評価して、情報提供していくしかない。
すでにそのような活動をしている方々もいるが、その評価が必ずしも的確とは限らない。


色々な団体、機関が独自の評価結果を提供して、消費者の判断材料に資することが必要だ。消費者団体は、反対意見ばかりを言うのではなく、科学的な目を養っていく必要があるのだ。

 

関口氏の意見(健康食品産業協議会 会長)

機能性表示食品に関する業界の取り組み

機能性表示食品制度の大きな目的は、(1)利用者個人のQOL向上(2)社会の医療費削減③健康産業の拡大の三方一両得と認識している。本制度の健全な運用にむけ、協議会としても取り組んでいる。


まず、関係官庁との情報交換、マスコミへの適切な情報提供、消費者、産業界や医師会、薬剤師会への情報提供を目的とした情報誌の発刊などを行う。

また、安全性、 GMPに関する課題抽出と検討、機能性成分の規格集の検討を行う。

さらに、現在積み残しとなっている、食事摂取基準設定栄養素(ビタミン、ミネラル等)を対象成分とすること、関与成分が不明な素材への対応、関与成分の含有保証規定の見直しといったことがある。


機能性の評価としては、研究レビューおよび臨床試験における病者の取り扱い、形状の違いによる(サプリメント形状では臨床試験のみだが、その他加工食品では観察研究も可)機能性表示の評価における是正提言、エビデンスレベル・主観的評価に必要な要件などの検討が挙げられる。


今回の制度では、事業者の責任は重いと考えている。また、多くの情報を受け取る消費者側にも、適切な情報を取捨選択し、制度を有効に活用いただけるようになることを願っている。

 

以上、2回にわたり、登壇者6名の方々の意見についてお届けしました。次回は、 受講者からの Q&Aについてお届けします。

 

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