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機能性表示食品

「新たな機能性表示食品制度ってどうなの?」参加レポート(1)

NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)が主催する、第11回食品の安全と安心フォーラム「新たな機能性表示食品制度ってどうなの?」に参加してきました。

 

そのリポートを、複数回にわたってお伝えします。第1回は、登壇した方々の機能性表示食品に対する意見をリポートします。

 


理事長 山崎氏の意見

新たな「機能性表示食品」は消費者市民社会の救世主となるのか?

この機能性表示食品の特徴は、アメリカのダイエタリーサプリメント制度にならって、企業が自己責任で機能性表示を出来ることになった点。特定保健用食品(トクホ)に比べれば、大きな規制緩和になった。

 

ただし、食品自体の安全性に問題が生じたり、生体調節効果にそぐわない機能性表示をゆるすわけにはいけないから、届け出た情報を公開し、消費者が自由に見れるようした。

企業としては、しっかりとしたエビデンス情報をもたないと消費者からの批判にあうため、襟を正す必要性がでた。

この制度により、これまでの野放し状態の粗悪な健康食品から、安全性・有効性の高い機能性表示食品に切り替えがすすむことが、期待される。

 

ただ、機能性表示食品の保健機能は食品素材なので、医薬品のようはキレはない。むしろ、医薬品ほどのキレが出るとしたら、食品とは言えず、医薬品として厳しく管理する必要性がでてくる。

医薬品と同レベルの有効性と完璧な安全性を同時に兼ね備えるものを求める声もあるが、そのような完璧な食品成分はありえない。

 

今回の機能性表示食品は、この社会の救世主になり得るものであり、消費者が公開された情報をもとに、自分にあったものを選択できる時代になったということ。

このフォーラムで「考える消費者」と食品事業者が対話することで、機能性表示食品がより有益なものになり、医療費削減・国民の健康長寿に貢献できる制度になることを望んでいる。

 

阿南氏の意見( 元 消費者長長官、現 社団法人 消費者市民社会をつくる会 理事長)

最大の課題は消費者理解の促進

今年の4月に「食品表示法」施工され、食品表示基準に機能性表示食品制度が盛り込まれた。しかし、消費者の多くはまだこの制度を知らないだろうし、理解も進んでいない状況と思われる。

消費者が制度を理解し、適切な選択を行うためにも、行政、事業者、学識者、消費者団体による強力な取り組みが求められる。

 

この制度の基本の考え方は、トクホで認められている表現を、安全性の確保を前提として、事業者の責任で表示できるようにする制度をつくり、消費者の適正な選択をサポートするとともに、根拠のない表示や広告など悪質な販売方法で消費者を惑わして売っている商品を排除することだ。

 

新しい制度は、透明性の高い制度であり、消費者には情報を読み解き、賢い選択をする力が求められる。

我々自身が食生活を振り返り、健康状態を把握し、バランスのとれた食生活と適度な運動が大切であることを踏まえ、機能性表示食品を合理的に取り入れていくことが重要である。

 

唐木氏の意見(公益財団法人 食の安全・安心財団理事長)

機能性表示食品をどのように考えるのか?

健康で長生きしたい、というのは人類永遠の悩みである。明治以後、日本は実証的な近代医学への道を歩んで、食薬区分の実施により、「無害・無効」の伝統医療から、より科学的に「無害・有効」が証明された医療を目指した。

1980年代に入り、食品の生体調節機能の研究がすすみ、健康食品が広がっていった。

 

もちろん、医薬品より有効な健康食品などないとわかっていても、巧みな宣伝により多くの人が医薬品でなく、健康食品に期待すすることとなった。

そんな中、安全性が不明なものや明らかに非科学的な効能を表示するものを健康食品から排除することを目的として、トクホと栄養機能食品の制度ができた。

 

しかし、抗がん作用、アンチエイジングといった根拠がない機能を標榜する一部事業者の排除が進まないため、合法的効能表示のハードルをさらに下げた「条件付トクホ」が生まれ、さらに企業の届出だけでこれを認める機能性表示食品制度が生まれた。

これにより、「有害・無効」な一部健康食品の排除が少しでも進めば、その価値はあるとする考えが強い。

 

 

以上、今回は登壇者3名の意見を掲載しました、次回は、残る登壇者3名の方々の意見をリポートします。

 

 

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