食品開発展2014の参加レポート〜機能性表示への各社動向は?〜
先日、ビッグサイトで開催された食品開発展2014に参加してきたので、そのレポートです。
機能性表示食品という枠組みが発表されてから、各社の対応として、どのように取り組まれているのか、というところを中心としてみてきました。
そして、各社の担当者の話を伺っているなかで気付いたことは、各メーカーの動きはかなりバラバラで、全体的な感じとしては、意識して機能性表示について取り上げているブースとそれ以外、というような感じで、全体としては、機能性表示について取り上げているのは健康食品ブースの3分の1にも届かない、といった割合でした。
もちろん、各社ともに準備はしているのでしょうが、それを表立って発表する段階にはいたっていない、というところがほとんどなのではないでしょうか。
また、機能性表示制度を取り上げているブースにおいても、「ガイドラインが出てくるまでは動けない」というのが現状のようで、今は論文を検索している、といったところで事前準備を行っているようですね。
また、各社ともにお互いの動向を伺っているところもあり、まだまだ動きづらいように考えているんだな、ということがひしひしと伝わってきました。
ただし、メーカーによっては、既にきちんとした準備をしており、自社の素材におけるシステマティックレビューについても対応済みのところもありました。
ガイドラインが出てきたところで、再度の見直しをかけるようですが、早めの対応を行うことで、そこまで準備を行っていない会社と比べて、問題点や制度のポイントが見えている感じでしたね。
現時点で動くということは、予測や仮説を含みながら動かざるを得ない分、ガイドラインとの整合性における確証はありませんが、その分柔軟に動けるようなスタンバイをしているので、一歩先を見ることが出来る、と言うメリットがあります。
今後の展開として、各メーカーは、色々な選択を迫られるようになりますね。特に、既にある商品をどのように仕分けするのかか、というのが、とても重要になってきます。
また、今回の制度においては、商品ごとだけじゃなく、機能性ごとに選択する必要が出てきます。
数ある商品の中から、機能性表示食品として選ぶポイントとしては、
・機能性エビデンスが確認出来ている素材かどうか
(データベースにおけるシステマティックレビュー結果として有効性レベルが高いか?)
・エビデンスにおいて、病者対象だけでなく、健常人や境界上の人を対象としているか
・その機能性は、広告表現としてうたって問題ないか
(アメリカのダイエタリーサプリメント制度におけるラベルがあるか?)
など、これらのポイントを参考にして、機能性を持っている素材のうち、どの機能性でうたっていくのか、ということを考えることが非常に大事になってきます。
特に、一つの成分で多岐にわたる機能性を持っている商品は、広告表現としてうたう機能を選択し、そのエビデンスを揃える必要があります。
もちろん、全ての素材、全ての機能性において、機能性表示食品として申請する、という選択肢も残されていますが、現実的な対策とはいえず、コスト的にも時間的にも余計にかかってしまい、メリットをデメリットが上回ってくる可能性があるので、まずは絞ることが重要になってきます。
また、選択するポイントとして、その商品の売上がどれほど見込めるのか、現時点で売り上げているのか、ということも焦点に入れておく必要があります。
売上が少ない場合にも、その理由が広告不足によるもので、エビデンスがあり、適切な広告をうたうことが出来るのであれば、優先順位は高くなります。
機能性表示食品として、開発〜販売までを一貫して売り出す場合には、きちんとした戦略を立てて、“仕分け”と“分析”をしっかりとやらないと、それぞれの商品のメリット・デメリットが明確にならず、いつにたっても方針を立てることが出来ません。
ガイドライン待ち、というのも一つの戦法ではありますが、売上を上げていくためのガイドラインというものは存在しません。
指示待ちのような形で、○○がないと出来ない、というのではなく、今あるもので、出来ることから取り組んでいく、ということが鉄則です。
ガイドラインがなくても出来ることは幾らでもありますし、今の時点で出来ることに取り組むことで、見落としている問題点に気付き、失敗するリスクを減らすことが出来ます。
また、今ある情報をしっかりと分析して、客観視していくことで、先を読んで行動することも可能になっていきます。
情報をしっかりと分析、仕分けし、今出来ることに取り組む(リソースを最適化する)ことが、他社との差別化を図ることにつながります。ぜひ、今出来ることで、ドンドンと差をつけて欲しいですね。
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