機能性表示食品におけるマーケティング戦略とは?
今回も、機能性表示食品についてお話していきます。
機能性表示食品制度の導入は、今までの健康食品という分野から、大きな変化を遂げ、より来たるべき時代になるのでは、と考えています。
新制度導入された場合の販売戦略について、以下のような図で表すことが出来ます。
これは、何も機能性表示食品に限ったことではありませんが、売上UPのためには、
・商品力
・マーケティング力
この二つが必須になります。
この二つの力を使う、ということがとても大事なんですが、どちらか一方でもダメです。
・商品力がないけど、マーケティング力だけを持つ
→誇大広告へと傾き、景品表示法などに違反する恐れがある
・マーケティング力はないけど、商品力はある
→しっかりとしたエビデンスを持った商品があるけど、消費者に認知・興味を持たれないため売れない
どちらか一方だけが突出しても、片輪だけでは直ぐに限界が来ます。この二つの両輪をきっちりと活かすことで、商品の良さがマーケティング力によって、広めることが出来るようになります。
これからの時代で、商品力として必要なのはエビデンスの確保です。
機能性表示食品では、臨床試験もしくはシステマティックレビューが必須となるワケですが、これは全てエビデンスに基づくものです。
そして、ここでいうエビデンスとは、付加価値と言い換えることも出来ます。
素材自体を変えること(より機能性として優れた素材)も重要ですが、エビデンスというのはあくまで情報であって、素材自体を変える必要はありません。ここで大事なことは、素材の持つ力を、エビデンスを証明することによって“見える化”するということです。
実際には、素材のエビデンスを証明しようがしまいが、その素材自体は同じものです。ただし、その同じ素材でも、「臨床試験でプラセボに比べて有意に機能性があることを証明した」というデータを持つだけで、その素材の価値が一気に上がります。
さらに言えば、エビデンスを証明するだけでは、まだ足りません。ただエビデンスをもっているだけでは、今までと何ら変わりありません。
これからの時代は、エビデンスを持っているだけ、の状態から、”機能性表示食品”という枠に組み入れることによって、その機能性をうたうことが初めて出来るようになります。
ここで、商品力とマーケティング力がリンクしてきます。
エビデンスという商品力があるから、機能性表示食品と言う形でマーケティング力をフルに活用することが出来ます。しかし、エビデンスを持っていなければ、機能性表示すること自体が出来ません。
エビデンスという情報を、機能性表示食品の制度に適した情報に変換して、機能性表示食品という土俵に乗せてあげないと、マーケティング力に大きな制限がかかる、ということです。
これまでの健康食品業界では、マーケティング力によって、売り上げを伸ばすところが多い状況でした。それも、エビデンスをどれだけ持っていても、広告としてうたうことが出来なかったので、仕方ない状況でもありました。
しかし、これからの時代には、エビデンスを持っていることが前提となり、その上でマーケティング力を駆使する、という形に変化していきます。
よく、“機能性表示食品はハードルが高いとか”“コモディティ化してしまう”といったマイナスの情報を聞きます。これは、その通りでもありますが、その通りでない、と言うことも出来ます。
ハードルが高いということは、参入障壁が高いということ=コモディティ化を防げるはずです。ただし、ハードルが高いのも一時的で、慣れてくれば、どのメーカーも参入してくるでしょう。長い目で見れば、コモディティ化することは防げません。
このように、一見したらマイナスな状況を打破するとしたら、他社がハードルが高いと感じているうちに、しっかり制度を利用して、ノウハウを手に入れ、コモディティ化する前に一歩先を行く、ということです。ここで大事なのは、スピード感です。
新しい制度に対して、マイナスな情報が出回っているうちが、非常にチャンスな状況でもありますし、誰もが一歩先を行くことをためらっているうちに、次の一手を打つことが出来ます。
今後、健康食品という業界は、より医薬品的な方向へ舵を切り、エビデンス至上主義に足を踏み入れようとしています。これは、間違いなく大きな変化です。
しかし、エビデンスが得られている商品であれば、ドラッグストアなどでも広告宣伝がしやすく、取り扱い易くなりますし、他にも医療機関などを含め、販売チャネルを増やすチャンスでもあります。
これから暫くは、通販が主体のままで推移するとは思いますが、ネットでの広告においても、どのように消費者にわかりやすく安全性、機能性のエビデンスを伝えるか、ということも重要になってきます。
同じような商品が増えてくる中で、どれだけ欲しい情報を提供し、消費者のマインドシェアを獲得することが出来るのか。ここで、マーケティングと商品力を兼ね備えた“コンテンツ力と価値ある情報発信”が必要になってきます。
機能性表示食品というものは、制度の一つに過ぎませんが、この制度を利用する場合には、初めの図のように、とてもシンプルな構図に落とし込むことが可能です。
制度を活かすも殺すも、結局は事業者側の認識と取組み次第なので、ぜひ機能性表示食品というものを上手く利用して、売上UPへ繋げていって欲しいですね。
メールマガジン登録フォーム
現在は、食品の機能性表示制度に関して、特集しています。
ブログでは触れていない濃い情報を配信しているので、
興味がある方は、ぜひご登録ください。