消費者が持つ健康食品のイメージと、薬事法の功罪とは?
ネオマーケティング社が行った、健康食品に関する調査結果が公表されています.
その結果では、年間5万円以上のお金を健康食品にかけつつも、体に変化を
感じていない人が65%にものぼる、としています。
最近、健康食品やトクホに関する帖佐が頻繁に行われているように思いますが、
今回の調査も非常に興味深いものです。
まずは、全体の要約をみてみると、以下のような調査結果になっています。
平均して、一日に使っている平均としては、年間53000円程度で、
自分自身にあっているか、というと、半数程度の人は疑問を持っているわけです。
そして、なぜ使い始めたのか、という質問の回答がコチラ
これらの調査結果をまとめると、消費者が健康食品に持つイメージとしては、
・何となく効きそうだから使ってみよう
・イマイチ効いているかわからないな
・自分に合ってるかわからないけど、とりあえず飲んでおこうかな
このような結果になっているワケです。
この調査結果を踏まえて、健康食品が消費者の健康に良い影響を与えているか
わからないけど、健康食品を使ってみよう、と思っていいる。
これは、”無駄遣いではないか”ということも出来ます。
しかし、本当にそうでしょうか?
そもそも、考えてみれば、このような結果になるのは、現在の法規制の規制どおりとも
言えるのでこのようなイメージを持ってることは正しい、とも言えるんです。
現在の健康食品の範疇は、医薬品と食品に分けて、食品の範疇となっています。
要するに、食品は、医薬品と違って、病気の治療や予防に用いることは出来ないし、
体の構造、機能に影響を及ぼすことは言えません。(トクホなどは除く)
体の構造、機能に影響を与えないものが食品(健康食品)である以上、健康食品を
使用する人達にとって、体の変化がないのは、正しいとも言えるわけです。
このような薬事法などの規制は、そもそも、食品が健康に与える影響をないものと
見積もっているため、基本的には、健康食品の意義はないことになっています。
もちろん、このような法律の裏には、健康食品がガンに効く、といった悪徳業者が
蔓延ったせいで、消費者が被害を受けた、という過去もあります。
ただ、そのような問題も、「健康食品は健康に影響しない」という方程式に、
必ずしも相関しているワケでもありません。
医薬品であれ、健康食品であれ、実際にガンに効かないものを効く、として販売すれば
同様に等しく虚偽の広告である、ということです。
もちろん、薬事法などの規制は、悪徳業者への取締りを行うための法律として、
とても重要でもあります
しかし、医薬品以外(健康食品)は健康に良い影響を与えないから、健康に良いと
うたってはいけない、ということが前提にあることが、健康食品のきちんとした
普及に関して、マイナスの影響を与えた、ということでもあるはずです。
トクホを取ればいいじゃないか、と言う意見もあるかも知れませんが、
その費用と時間を考えたら、簡単に取ることができないのも事実です。
健康食品は食品だから、体の構造、機能に影響を与えないものである。
だから、日本の健康食品はエビデンスを持っていてもうたえない。
このことが、健康食品を販売する側にとっても、最終的には消費者への
適切な商品の提供にも、足かせになっていたことも事実でしょう。
でも、一方で、健康のために栄養バランスを考えて食事をしましょう。とうたうワケです。
誰もが知っているとおり、栄養・睡眠・運動などのバランスが取れて、
やっと健康的な体になります。
どれだけきちんとした健康食品であれ、一回だけ飲んだって、効くわけがありません。
インスタントな訴求に反応するのは、売る側の問題でもありますが、
楽して健康になりたいという消費者側の問題でもあります。
そして、現代の環境を考えたときに、誰もが必要な栄養を摂ることが
難しくなってきたとも思うワケです。
そう考えると、医薬品以外は、体の機能に影響を与えないという規制が、
消費者にとって良い影響を与えるのか、と思うワケです。
仮に、きちんとした科学的なデータがあって、その情報が十分に与えられても、
最後にサプリメントを摂るか摂らないかを決めるのは消費者です。
そういう意味では、健康によいと言うデータがあるものに関しては、健康に良いと
言える仕組みを作る、今回の機能性表示は当然と言えば当然の流れです。
それでも、世界的なサプリメントの流れからは遅れているワケですが(苦笑)
ただし、どのような制度にしろ、このような規制が緩和されると、
誇大広告を出す会社が出るのは避けられないとも思います。
自分たちが持っているエビデンスを何倍にも水増しして、広告する会社が
出てくることも容易に想定されます。
この問題に対しては、行政の役目として、きちんと監視しなければなりません。
ただ、言ったもの勝ちといった制度にならないように、注意を払う必要があります。
何にせよ、今回の制度は、健康と食品の考え方自体にまでを大きく影響を与える
可能性を秘めています。
健康長寿という目標を支える制度と出来るのか、それはこれからの制度の運用次第に
よって、変わってくるでしょう。
今日はこの辺で。
ではまた。
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