トクホって儲かるの?
こんにちは。
さて、今回は日本において、機能性表示が
認められている、保健機能食品について
お話していきます。
保健機能食品について知らない人のために、
まずは保健機能食品とは何か、ということから
始めていきましょう。
1.保健機能食品って?
前回、日本においてサプリメントは
法律によって定められていない、と
お話しました。
しかし、日本においても、国が設定した
安全性や有効性等の基準を満たした商品に
ついては、食品でありながら健康機能を
表示出来るという制度があります。
これが「保健機能食品」という制度です。
この制度では、
消費者が安心して食品の選択ができるように
適切な情報提供をすることが目的と
なっています。
この保健機能食品では、
「特定保健用食品」および「栄養機能食品」の
2つに分類されます。
(参照先:厚生省)
今回は、この保健機能食品のうち、
特定保健用食品(いわゆるトクホ)について
話を進めていきます。
栄養機能食品については、次回以降にお話しますので、
少しお待ちくださいね。
2.特定保健食品(トクホ)って何?
トクホとは、健康の維持、増進のために
身体の生理機能などの手助けをする成分を
含んでいる食品です。
トクホにおいては、
「お腹の調子を整える」など、
特定の保健に役立つことが期待できることを、
表示することが出来ます。
では、どんなヒトを相手(ターゲット)
にしているか見てみましょう。
ヒトの 身体の健康状態は、
1.健康
2.半健康
3.半病気
4.病気的の
4つ状態に分類されます。
トクホがターゲットとしているのは、
1、2、3の健康・半健康・半病気の
人達となります。
医薬品は、健康な人には使わないので、
3、4の半病気、病気のヒトが
対象となります。
”おっ。トクホは、健康食品と違って、
特定の保健に役立つと表示できるのか。”
”だったらトクホ取得した方がいいじゃないか”
と思うかもしれません。
たしかに、初めはそんな期待をしますよね。
しかし、そんなに甘い話ではありません。
さきほどお話したとおり、
トクホを取得するためには、
・有効性
・安全性
に関する審査を受け、消費者庁長官の
許可を受けることが必要となります。
必要な資料は、以下の表を参照ください。
(参照先:消費者庁「特定保健用食品の許可審査手続きに関する説明資料」)
さらに、トクホの許可を受けるためには、
下記のステップを経る必要があります。
(参照先:消費者庁「健康食品の表示制度の概要」)
”うわ、 こんなにステップがあるのか、大変だな”
と思われたのではないでしょうか。
そう、トクホとして許可を得るためには、
これだけの要件を満たさなければなりません。
そして、大事なことは、
”お金と費用がものすごいかかる”
ということです。
審査期間は6ヶ月間ですが、申請から許可までに
1年程度はかかる事はよくあります。
さらに、審査資料を作るために、臨床試験など
多くの資料のためにデータを取る必要があります。
全ての費用を含めると、数億はかかると
言われています。
ということは、それだけの利益が見込めない限り、
トクホに手を出す事が良い事ではない、
そういうことになります。
3.トクホってどれくらいあるの?
少し古いですが、トクホの許可品目数は以下のように
推移しています。
(参照先;日本健康・栄養食品協会プレスリリース)
最新のデータでは、1095品目(平成25年12月26日現在)と
なっています。
一時期承認数も落ちていましたが、ここ1〜2年間で
また数を増やしているようですね。
ただ、これは、あくまで商品数であって、同じ内容でも
大きさや味によって複数登録している商品もあるので、
単純にカウントして良いものではありませんが。
まあ、何にせよ、これだけ許可を申請している
ということは、それだけ機能性表示に
力を入れているメーカーが多いと
いうことでしょう。
4.トクホで言える表現って?
今まで、”機能性表示”という言葉を
良く使って来ました。
医薬品では”効果効能”といいますが、トクホでは、
効果効能とうたうことは出来ないんです。
トクホの「お腹の調子を整える」という表現は、
厳密には効果効能ではなく「保健の機能」という
位置づけにあたります。
まあ、消費者にとっては、効果効能という形で
伝わっているかも知れませんので、その表現方法は
あくまで規制上のもの、といっても良いでしょう。
では、これまでに、トクホとして認められた表現は
どれくらいなのか、いうと、以下の種類があります。
(参照先:消費者庁「健康食品の表示制度の概要」)
この表現は、個別の食品ごとに審査されて、
表示してよい表現が決められています。
今後も、このカテゴリーは増えていく
でしょう。
5.結局、トクホは儲かるのか?
種類や表現方法はわかった。
で、結局、トクホって儲かるのか?
と考えるヒトもいるでしょう。
では、実際のトクホの市場を
見てみましょう。
(参照先;日本健康・栄養食品協会プレスリリース)
2007年をピークとして、売上高は少し減少気味ですね。
ただ、5000億円以上キープしている状況です。
単純計算をしますと、現在、1000以上の
トクホ(商品数)が世に出ています。
ということは、一つの商品あたり5億円位の
売上をあげている、ということです。
もちろん、分布図があるとすれば、
かなり2極化しているのではないかな、
と想定されます。
ここで考えてみてください。
1000種類のトクホがあったとしても、
実際に皆さんがご存知なのは
10数種類くらいではないでしょうか。
実際に、私が知人にトクホの製品をオススメしたところ、
「こんな商品全く知らなかった」と言われたことも
あります(苦笑)
せっかく、多くの投資をして、トクホの許可を得ても、
消費者に認知され、売れないことには、意味がありません。
そう、意味がないんです。
最近ヒットしたトクホ、というと、
「キリンメッツコーラ」
が記憶に新しいですね。
この、コーラという商品をトクホというジャンルに
持ってくるという発想は良い例ですね。
お茶と健康、というのは何となく
予想が出来ます。
お茶は健康に良いよな、というのは誰もが
思うことです。
しかし、コーラという 商品、
健康とは無関係、むしろ悪化させるのでは、
という消費者の認識を覆して、
脂肪を抑えるコーラ、というコンセプトで
売り出し、ヒットしました。
この商品は現在、3億本間近ということで、
投資効果があった商品といって良いでしょう。
結局のところ、多くの商品が溢れて、
無数の選択肢がある現在では、
ただ商品を作って売る、というスタンスでは
通用しません。
トクホの場合には、特に商品設計が重要で、
商品開発のときに、 明確なコンセプトを
打ち出すことが重要となってきます。
これは、もちろん、サプリメントでも同じです。
今後、より厳しくなる市場において、
どのように売っていくかを考えずに、
広告で効能が表現出来れば売れる、
と考えていても、ヒット商品は生まれません。
これに気付かないといけません。
きちんとした戦略・コンセプトをもって
開発し、売り出していかなければならない、
ということを忘れてはいけません。
他の商品と全く同じものを、マーケティングだけで
売っていこうという考えは、かなり厳しいものがあります。
結局のところ、商品設計とマーケティングが
一環となることが一番強いということです。
戦略なき商品が売れることは
ありませんので。
今日はこの辺で。
ではまた。