【制度改正】機能性表示食品、4月1日から何が変わった?
機能性表示食品が食品表示法告示扱いとなりました。
2025年3月25日付で食品表示法告示(機能性表示食品の届出等告示、以下「告示」)が制定され、2025年4月1日より、機能性表示食品が食品表示法の告示扱いとなりました。
従来、機能性表示食品の制度はガイドライン、マニュアルに従って運用されていましたが、食品表示法の告示扱いとなったことにより、事業者が遵守していない場合の措置が厳密になされることが予想されます。
なお、告示に記載しきれない内容については新たに「機能性表示食品の届出等に関する手引き」が作成され、機能性表示食品は告示と手引きを参照しながら進めていくこととなります。
さらに、4月1日からは届出の様式がリニューアルされる、データベースが更改される、など、過去の制度運用の中でも一際大きなアップデートがなされています。
今回は、4月1日から変わった主な変更点について、ピックアップしたいと思います。
主な変更点①PRISMA2020準拠SRが必須に
2023年9月から公表されていたように、機能性エビデンスに使用している研究レビュー(SR)がPRISMA2009準拠版からPRISMA 2020準拠版へと変更となりました。
3月末まではPRISMA 2009準拠版も使用可能でしたが、4月以降は届出資料としてPRISMA 2020準拠版のみが受付されることとなっています。
さらに、届出に使用する書式も3月25日に新たなものが提示され、これまで使用していたマニュアルのPRISMA2020準拠版ではなく、告示のPRISMA2020準拠版として届出する必要があります。
また、新たに記載すべき事項として、別紙様式(V)-1-2と(V)-17という書式が追加され、届出者がSRにどのように関わっているのか、SRで得られたエビデンスと機能性の関連性はどうなっているのか、等を説明することとなりました。
そのほかにも、別紙様式(V)-16では、SR作成者が「SRにおけるアウトカム指標と結果のまとめ」「SRにおける食品性状のまとめ」「機能性関与成分とすることの適切性」「対象者のまとめ」「摂取条件」「摂取量」を記載する必要があります。
なお、これらの内容については、PRISMA2020のチェックリストに含まれているものではなく、機能性表示食品の制度特有の資料であり、SR作成者および届出者が記載する項目が増えたという形になります。
主な変更点②データベースの更改
今回の制度変更に伴い、機能性表示食品の届出データベース、検索データベースが大幅にリニューアルされました。
届出者は、今までIDおよびPASSを使用してデータベースにログインしていましたが、今後は行政サービスで共通のシステムであるGビズIDを使用することが基本となるため、新たにGビズIDの申請を行う必要があります。
今までの機能性表示食品の届出データベースの仕様とは異なる点も多いことから、届出するための手続きを早めに済ませ、新しいデータベースの仕様を確認しておく必要があります。
データベースの仕様というものは、多くの届出を行う上で非常に重要なファクターとなります。どの位置にどのボタンがあるか、ということをあらかじめ把握して無意識に操作できるようになることで、ミスも減らすことができます。届出のスピードを上げるためにも、早めに仕様に慣れることが重要です。
主な変更点③新規関与成分の届出確認120日へ
今までの機能性表示食品では、届出後60日以内に消費者庁の確認が原則として行われてきましたが、今後は、新規関与成分については届出後120日以内に確認となります。
単純に計算しても4ヶ月間かかることになりますが、この日数には行政機関の休日を含まないため、実質的な期間としては約168日間(5ヶ月間以上)になります。
1回届出をすると5ヶ月間は確認結果が返ってこないとすると、新規関与成分で届出する場合、ちょっとしたケアレスミスがあるだけでも半年程度のロスにつながります。
ケアレスミスをしないことは当たり前のことですが、今まで以上に届出時点での書類の確認をシビアに行う必要があるでしょう。
なお、新規の関与成分が何を指すのか、ということを確認しておきたいと思います。具体的には以下のように定められています。
- 届出が履行された機能性表示食品であるとして、これまでに消費者庁による公表がされたことがない機能性関与成分
- 届出が履行された機能性表示食品であるとして、これまでに消費者庁による公表がされたことがない複数の機能性関与成分の組合せ。
このように、新たな成分だけでなく、実績のない複数成分の組み合わせについても新規成分とみなされ、120日ルールが適用されます。
上記の定義に当てはまる成分で届出を行う場合には、120日ルールの確認期間を踏まえて、新製品の開発スケジュールを設定しないと、計画に無理が生じるのは明らかですので、注意が必要です。
主な変更点④自己点検の開始
この変更点については、4月1日に直ぐ対応しなければならないものではありませんが、機能性表示食品として届出した食品については、今後1年に1回自己点検を行なった結果をデータベースから報告する必要があります。
自己点検については、「安全性および機能性の根拠」「生産・製造および品質の管理」「健康被害の情報の収集および提供」等に関する内容についてチェックリストを用いた評価結果を報告する形です。
3月末までに受理された製品については、2026年3月末までに一回目の自己点検結果を報告しなければなりません。今までに受理された製品は全て来年3月末に報告しなければならないため、商品数が数十件を超えている場合は、多くの工数や担当者のリソースが必要になります。
さらに、今後受理された製品は、それぞれ提出期限が異なってくるため、適切な管理を行わないと、いつの間にか提出期限が迫っている、といったこともあり得ます。
自己点検が必要な製品にはアラートがかかりますが、そのタイミングで順次処理していかないと、あっという間に自己点検の提出期限を迎える、といったことになりかねません。
これからは、"届出が受理されるまで" "届出が受理された後"、それぞれの管理・運用を適切に行わないといけません。
4月からここが変わった!「機能性表示食品制度」変更ポイント解説セミナーの開催
4月22日、23日に東京国際フォーラムで「健食原料・OEM展」が開催されますが、この展示会の主催者セミナーで4月22日に弊社渡邉が講演いたします。
講演内容としては、まさにここまで話してきた内容になります。「4月から機能性表示食品制度の何が変わったのか?何をしなければいけないのか?」「新しいPRISMA2020準拠版SRのポイントは何か?」といった内容をお話しいたします。
制度変更のポイントを押さえることは非常に重要ですので、今後の対応や方針を決めるためにもセミナーを役立てていただければと思います。
今回は『「機能性表示」3講座セット受講』というパッケージもあり、3講座合わせて申し込むと割引になるようですので、是非とも展示会に参加しながら、最新の機能性表示食品制度の情報を入手してもらえればと思います。
セミナーに関する詳細については、以下の通りです。
- セミナータイトル:「4月からここが変わった!「機能性表示食品制度」今すぐ対応すべきポイント〜最新の指摘事項と各社の対応状況を含めて徹底解説〜」
- 日時:2025年4月22日(水)11:45~12:35
- 会場:東京国際フォーラム 「ホールE1(展示ホール前)」
- 受講料:事前予約3,500円、当日5,500円(税込、資料込)
セミナーの申し込みはこちら(株式会社ヘルスビジネスメディア様主催「健食原料・OEM展2025」:外部サイトへ移動します)
機能性表示食品制度が10周年経過
機能性表示食品の制度が2015年4月に開始されてから、はやくも10年間が経過しました。
この10年間の中でも制度の変更というものはいくつもありました。制度が始まった当初はデータベースでなく、紙で書類を提出していた時期もありましたし、ガイドラインの内容も年々アップデートされてきました。
そんな変遷の中でも、この数年間の変更は過去にも例がないほどで、4月1日以降もその余波は継続していくことが予想されます。
今後数年間は、事業者が機能性表示食品の制度にどれだけ対応できるか、その対応力や柔軟性が問われる時期となるでしょう。
ここから数年間で、事業者間の差が開く可能性も十分にあり得ます。逆に言えば、地道に制度に適応していくことが、大きなアドバンテージに繋がるチャンスでもあります。
新しい制度に遅れをとらないためにも、4月22日のセミナーに参加して、最新情報を把握して、今後の対応や課題を整理する機会にしてもらえれば幸いです。
4月22日セミナー申し込みはこちら(株式会社ヘルスビジネスメディア様主催「健食原料・OEM展2025」:外部サイトへ移動します)