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システマティックレビューマーケティング機能性表示食品

たまに見かける食品のネガティブ情報のエビデンスはどれだけあるのか?

最近、トクホや食品添加物など、食品に関するネガティブな情報を見かけることが増えたと感じます。

今回は、下記リンクの記事を参照
http://toyokeizai.net/articles/-/48586

たしかに、この記事だけを見てみると、こういう食品は危険性が高いのか、と思わされてしまうような構成になっています。ただ、よくよく見てみると、しっかりとしたエビデンスがないんですよね。

例えば「安息香酸Naを2%および5%含むエサを与え、ラットを4週間飼育した実験で、5%群のラットはすべて過敏状態、尿失禁、けいれんなどを起こして死亡した」という部分。

この情報だけを文字で見てみれば、なんて危険なものなんだろう、こういうものを食べているのか、と思います。

ただし、もちろん、そんな安全性の低い食品が出回っているワケがないので「市販のドリンクには5%も入っていません。清涼飲料水の場合、安息香酸Naを添加できる量は最大で0.06%。しかし、それほど毒性の強いものを使用していることが問題。毎日飲み続けた場合、胃や腸などの細胞に影響がないか懸念される」という形でフォローされています。


ここで大事なことは、この情報でラットが5%群のラットが過敏反応などを起こして死亡、とありますが、これは安全性試験で折り込み済みの情報、ということです。

これらの動物実験での致死量から、人が一生の間に毎日食べても安全な量を算出していいます。

そういう情報を基にして安全性の基準を作っているのに、その元データだけを強調することによって、この食品の安全性は低い、と読者に思わせてしまうのも、ただ読者への注目をあおることが目当てではないか、とも考えてしまいます。


別に、食品の安全性について論じるのが悪い、と言ってるのではなく、本当に安全性が低いのであれば、それは世間に周知するべきですし、そのデータをしっかりと集めて公表すれば良い、と思います。

ただし、安全性に関するデータは、有効性に比べてよりセンシティブな問題ですので、取扱には十分に注意しなければいけません。きちんとした根拠なしに健康に悪い、というのも、意味もなく消費者の不安をあおるだけであり、建設的な意見とは言えないですからね。

他にも、現在の日本では臨床研究の論文数が基礎研究に比べて極端に少なく、臨床研究では欧米や中国に遅れをとっていますし、さらには、昨今話題というか大きな問題となっている捏造事件もあります。

データの数が少ないのも問題ですが、そのデータ自体が作為的に作られたものである、といったことが増え続けると、最終的にどの情報を信じれば良いのか分からない、といった袋小路に迷いこみ、お互いに首を絞める結果になってしまいます。


そういう意味で、機能性表示食品が導入される際に使われるシステマティックレビューという手法は、有効性を確認するためには、利にかなっている手法ではないでしょうか。

今までに実施された全ての臨床研究のデータを収集し、その中で信頼性が低い情報を外していき、残った信頼性の高い試験のデータを統計解析する、という手法は、現在考えられている臨床研究の解析手法としては、トップレベルでしょう。

もちろん、システマティックレビューも、誰が行うかでデータの信頼性に関わってきますが、外部機関などを利用して、利益相反がない(完全にゼロというのは現実的に難しいですが)状態を作ることで、その辺りもカバーすることが出来ます。


もちろん、事業者にとっては透明性が高ければ良い、良いデータが集まれば良い、と言うだけでは片付けられません。むしろ、そこにかけたコストに見合った分だけの利益が得られなければ、いくら良いデータが集まっても、意味がないでしょう。

ここからはマーケティングの話になってしまうので、今回は割愛しますが、エビデンスベースとした情報は、これからの時代、より高い付加価値を持つでしょう。

消費者も、ネームバリューやブランドに信頼をおくのと同じように、データを持っている商品に信頼をおく、という時代も十分にあり得ます。


データ自体は、嘘を言いません。そのデータを改ざんしたり、本来10でしかないものを100に見せようとする人間が嘘をついているだけです。

これからは有効性についても、安全性についても、しっかりとしたエビデンスを取って、それを消費者にきちんと伝えていく、というフローが重要になってきます。このフローを迅速に、的確にこなした企業が、大きく飛躍することになるでしょう。

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