ナビ

代表ブログ・業界ニュース

ナビ
機能性表示食品

第5回 機能性表示制度に関する検討会(速報)

本日は、「第5回食品の新たな機能能性表示に関する検討会」を傍聴してきたので、
その報告です。

 

今回の検討会では、機能性表示のエビデンスについて話し合われるということで、
かなり注目の会でしたが、予想どおり、議論もかなり白熱していましたね。

 

さて、重要な機能性表示制度に関する対応方針ですが、以下の通りです。
少し長いですが、分かりやすいように要約してます。

 

【基本的方向性(案)】 

  • 栄養機能性食品制度およびトクホ制度は、それぞれ今まで通り存置する(廃止しない)
  • 新制度における機能性表示は、国ではなく企業等の責任によって行われるものである
  • 新制度においては、表示しようとする機能性について
    1.最終製品を用いたヒト試験による実証
    2.適切な研究レビューによる実証
    のいずれかを行うことを必須とする
  • 複数の保健機能成分についてそれぞれ機能性を表示しようとする場合には、成分ごとに機能性を実証すればよいこととする

 

【対象食品・対象成分】

  • 対象食品:食品全般とする。ただし、ビール等のアルコール含有飲料やナトリウム、糖分等を過剰に摂取させることになる食品は、一定の機能が認められても、健康への悪影響を否定できないので、対象としない(トクホ制度と同様)
  • 対象成分:直接的または間接的に定量可能な成分とする。ただし、食品摂取基準において摂取基準が策定されている栄養成分は、対象としない
  • 保健機能成分を中心とする食品の機能性を担保するため、事業者は規格を設定し、それに基づいて登録検査機関などで製品分析を行い、保健機能成分の量を確認する

 

【対象者】

  • 対象者:生活習慣病などの疾病に罹患する前の人又は境界線上の人(トクホ制度と同等)
  • 疾病に既に罹患しているひとは対象としないこととする
  • 未成年者、妊産婦(妊娠計画中の方を含む)および授産婦は対象としないこととする

 

【可能な機能性表示の範囲】

  • 健康維持・増進に関する表現とする
  • 疾病の治療または予防を目的とする表示・疾病リスク提言表示をはじめとした疾病名を含む表示については、診療機会の逸失を招く可能性があるので、国の管理下(医薬品、トクホ)で慎重に取り扱われるべきであり、対象とはしない
  • 主観的な指標によってのみ評価可能な機能の表示についても、新制度の対象となりうるが、その指標は日本人において妥当性が得られ、かつ、学術的に広くコンセンサスが得られたものに限ることとする

 

【機能性表示に関わる科学的根拠のレベル】

(1)最終製品を用いたヒト試験による実証

  • 最終製品を用いた安全性および有効性のヒト試験を行い、安全性と表示内容が実証された製品について、機能表示を求める
  • ヒト試験の方法は、原則として、トクホに準ずる。ただし、有効性試験については、「UMIN臨床試験登録システム」などに事前登録が行われていること、結果については、国際的にコンセンサスが得られた指針(CONSORT声明)に準拠した形式で査読付き論文により報告されたものに限る

 

(2)適切な研究レビューによる実証

  • 消費者調査の結果を踏まえ、次の事項を満たしたものについて、機能表示を認めることとする
  1. サプリメント形状の食品においては、ヒト介入試験で肯定的結果が得られていること
  2. その他加工食品、生鮮食品においては、ヒト研究(介入試験又は観察研究)で肯定的結果が得られていること
  3. いずれの食品形態においても、Totality of Evidence(TOL)の観点から肯定的結果があると判断された機能であること
  • 科学的根拠レベルにおける具体的案件は、次のとおり
  1. 査読付きの学術論文など、広く入手可能な文献を用いたシステマティック・レビュー(SR)を必須とし、機能性表示をしようとする成分の機能において、TOLの観点から肯定的といえるか、企業責任で評価を行うこと
  2. SRについては、その結果の客観性・透明性を担保するために検索条件や採択・不採択の文献情報 など、結果に至るプロセス、スポンサー、利益相反に関する情報、出版バイアスの検討結果など について、詳細に公表すること
  3. 海外で行われた研究についてもレビュー対象となりえるが、日本人への外挿性を考慮すること
  4. SRの結果、ヒト研究について次のいずれかに該当した場合は、機能性表示を行うための科学的根拠が十分でないとみなし、機能性表示を認めない
    ・査読付きの研究論文が1本もなかった場合
    ・表示しようとする機能について、査読付きのヒト研究論文がこれを支持しない場合
  • SRについても出来るだけ事前登録を行い、新たな知見を含めた検討を定期的に実施、公表していくよう努めることとする

 

【情報開示】

次の2つの手段により、機能性に関する情報を開示することとする

(1)容器包装への表示

  • 機能性表示の内容について国による評価を受けたものではない旨の表示
  • 未成年者、妊産婦および授乳婦を対象としたものではない旨の表示
  • バランスの撮れた食生活の普及啓発を図る文言

(2)表示以外の情報開示

  • 容器包装は、スペースが限られるなどの問題があるため、機能性表示の内容に関する科学的根拠情報については、表示以外の手段により詳細に情報開示を行うこととする
  • なお、情報開示に当たっては、一般消費者にも理解、活用しやすい形式も整備する

 

以上、これが今回の機能性表示に関する一連の情報です。

なお、細かい資料は、以下のサイトからダウンロード出来るので、チェックしてみてください。
http://www.caa.go.jp/foods/index19.html

 

今回の検討会の中で
・機能性表示のための科学的根拠のレベル
・対象となる範囲
が明らかになりました。

 

特に、科学的根拠の取得としては
①ヒトを対象とした臨床試験を行う
もしくは
②適切な研究レビューによる実証
のいずれか。

既に臨床試験のエビデンスが揃った素材については、入手可能な文献を用いて、システマティックレビューを行うことで、臨床試験を行わなくても、機能性表示が出来るとなっています。

 

なお、システマティックレビューについては、別途このブログで取り上げたいと思います。

 

続いて、今日の検討会で、口頭で話されていた中で、幾つか重要なポイントをあげておきます。

対象成分として、食事摂取基準において摂取基準が設定されている栄養成分は除く、となっており、該当する成分としては、「ビタミン、ミネラル、n-3系脂肪酸、食物繊維など」があります。

ですので、ビタミンAそのままを機能性成分として表示することは出来ません。

 

しかし、ビタミンAの前駆体であるβカロテンについては、摂取基準において定められていません。また、n-3系脂肪酸としてEPAやDHAがありますが、これについても摂取基準には定められていません。

現在のところ、これらのβカロテンやEPA、DHAなどの成分は機能性の対象とすることで進めていると、消費者庁の担当官は説明していました。

 

また、委員の方から幾つか質問として挙がっていたのが、「複数の保健機能成分についてそれぞれ機能性を表示しようとする場合」には、最終製品そのものであるか、最終成分と同等の組成での実証が必要ではないか、ということです。

 

現在の案としては、複数の素材を別々に試験をして機能性を実証すればよい、となっています。

しかし、それを混ぜ合わせて最終製品とした場合には、有効性や安全性に相互作用を及ぼす可能性があるので、この点については、今後何らかの修正が入るかも知れません。 

 

また、もう一つ農林水産省が提示した機能性表示のイメージ例として、以下の広告例が出されています。

【温州みかん】
本品は、βクリプトキサンチンを含み、骨の健康を保つ食品です。
更年期以降の女性の方に適しています。

【べにふうき緑茶】
本品はメチル化カテキンを含んでいるため、花粉が気になる方の目や鼻の調子を整えます。

 

この文言だけを見てみると、”花粉が気になる”と入っていますが、”花粉症”とは記載されていないので、疾病リスク軽減とは言えない、と言うことでしょう。

となると、今までに比べ、多くの広告表示が可能になることを示唆したものでもあります。

また、委員から、広告の具体例を出すよう要望が出ていたので、次回以降の検討会で、どのような表示が可能になるか、消費者庁からの案が提示されることでしょう。

 

今回の議論では、色々な問題点も浮かび上がってきましたが、今回の案から大幅な変更がされることも考えにくいので、今回提示された案に沿って、進んでいくことでしょう。

 

ただ、生鮮食品については、議論すべき点が多い、ということで、今日の検討会ではまだほとんど議論が交わされていないので、今後、詳しい条件付けなどが決まっていくことになりそうです。

しかし、機能性表示に関する全体像はだいぶ明確になったので、今後は各企業がどのようなアクションが必要か、ということを、制度開始から逆算して行動へと移していく時期に入り始めたように思います。

来年3月末には施行されるということで、機能性表示を利用するのであれば、臨床試験にしろ、システマティックレビューにしろ、いつ、どのようなアクションに落としていくか、自分の会社の素材を元に具体策を練らなければいけません。 

 

また、今後は、販売チャネルも、アメリカのようにドラッグストアへのシフトチェンジも入ってくるかも知れません。

ドラッグストアとしても、どのような形で今後健康食品を販売していくか、ということを大きく捉えていった方が良いでしょうね。

 

エビデンスに関するデータベースの重要性も増してくるでしょう。

サプリメントに関するデータベースは既に存在しているので、そのデータベースをどのように活かすか、ということも考慮していくことが必要になりますね。

 

また、現在持っている素材が、今回の科学的根拠のレベルで取得することが難しいと考えるなら、新規素材を発掘するということも戦略の一つに入れることも大事です。

 
兎にも角にも、制度の概略は決定してきているので、企業として大きな戦略は決めておき、制度が確定した時点で、すぐにでも動けるような準備を整えていくべきでしょう。 

今回の検討会の質疑応答なども、またアップしていきます。
ではまた。

 

【メルマガ申込はコチラ】

メルマガに登録した人には、薬事法広告セミナーの動画を
無料プレゼント中です。

まだメルマガに登録してない人は、ぜひ登録して、
動画を入手してくださいね。

メールマガジン登録フォーム

メールアドレス
[必須]
名前
[必須]
会社名
このページのトップへ