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機能性表示食品

機能性表示食品制度の検討会報告書案が公表へ

11月25日に「第11回 機能性表示食品制度における機能性関与成分の取り扱い等に関する検討会」が開催され、検討会での報告書案が公開されました。

今回は、ガイドラインに新たに追加される規定や修正点など、報告書案の概要についてお話ししていきます。

検討会での論点について

11ヶ月にわたり開催された検討会では、複数の議題について検討されてきましたが、論点をまとめると以下のようにまとめられます。

  • 栄養成分の取り扱い(糖質・糖類、ビタミン・ミネラルに関して)
  • 機能性関与成分が明確でない食品の取り扱い
  • 国の関与について
  • 現行制度からの変更について

これらの項目について、一つ一つ見ていきたいと思います。

栄養成分の取り扱いについて

1.糖質・糖類の取り扱い

現在の制度において、炭水化物やタンパク質、ビタミン・ミネラルなどの栄養成分については、機能性関与成分の対象外となっていましたが、今回、対象成分の見直しが行われ、糖質・糖類については機能性関与成分に該当することとなりました。

・定義

ブドウ糖や果糖、ショ糖などの、栄養・エネルギー源とされる成分を除いた糖質・糖類とする。

・安全性の評価

届出する食品の喫食実績に加え、最終製品または機能性関与成分における安全性情報の既存情報により安全性の評価を行う。

既存情報により不十分な場合には、安全性試験を実施し、安全性の評価を行う。さらに、糖質・糖類の製造法右方についても考慮する。糖類・糖類のエネルギー量も届出資料に記載する。

・生産・製造及び品質管理

現行制度と同様に届出する食品の分析を実施する。糖質・糖類の文勢方法については、妥当性が検証されることが必要で、査読付き論文や公定法など客観的な評価が行われた方法で実施する。

・その他

関与成分が、ブドウ糖や果糖と共にシロップとして原材料となっている場合には、過剰摂取を招かないように注意事項を記載する。

2.ビタミン・ミネラルの取り扱い

ビタミン・ミネラルの機能性表示については、過剰摂取の懸念・他の制度(栄養機能食品)等との関係を踏まえ、現時点では本制度の対象としない。まずは栄養機能食品の制度で検討する。

機能性関与成分が明確でない食品の取り扱い

現在の制度において、機能性関与成分が明確でないものは、対象成分から除外されておりますが、今回の見直しにより、条件付きではありますが、対象成分として追加されることとなりました。

特に、生産や品質管理において、現行のガイドラインに複数の規定が追加されることとなりますが、その分量が多いため、詳細については、次回にお話ししたいと思います。

国の関与

現行の体制において不備がある点などを整理し、より迅速かつ適切な制度の運用のため、幾つかの提言が挙げられました。

1.消費者庁の体制

事業者の責任において届出をする制度であり、事前承認制度でないことから、届出食品の事後的確認を行うことが必要不可欠である。

今後、新たに追加される糖質、糖類やエキスについては提出する書類が増えることもあり、迅速かつ的確な確認を行うため、届出様式やガイドラインの整備を行うとともに、消費者庁の人員体制やデータベース改修といった体制整備を図る。

さらに、機能性表示食品に関わる事業者団体においても、自ら事後的な確認を行うなどの努力が必要である。

2.健康被害情報の収集・評価

健康被害情報の収集・評価について、届出者から消費者庁への報告を確実にするために、届出者における有害事象の具体的な判断を行いやすいよう、標準化すべき

3.消費者教育

機能性表示食品の消費者意向調査で、正しく制度を理解している者は5割強にとどまり、機能性表示食品だけでなく保健機能食品に関する消費者のリテラシーを高める必要がある。

関係省庁などとの連携により、バランスのとれた食生活の普及啓発、安全性も含めた消費者理解に向けて継続的な取り組みを推進すべきである。

現行制度からの変更について

今回、ガイドラインに新たに追加される規定だけでなく、以下の点について、現行のガイドラインが変更されることとなりました。

  • 現在の制度で対象となっている成分についても、定性的なパターンが基原に特有の場合には、名称に基原名を入れること。
  • 分析方法については、すべての機能性関与成分において「原則公開」とする。(既に受理された製品の分析方法については、どのような対応となるかは不明)

制度の本質を理解することが重要

以上、現在のガイドラインからの主な変更点についてお話ししてきました。

なお、迅速な確認を行うため届出様式の変更やガイドラインの整備を行うこと、となっていますが、ガイドラインの改訂時期については、消費者庁は明言していません。

検討会の委員長からも、ガイドラインが完成しなければ事業者が対応できないため、できる限り早く公開すること、と意見が出ていました。

また、ガイドラインの改訂について、様々な憶測が飛び交うこともありますが、どのような改訂が行われるにせよ、現行制度からの変更点をチェックし、ガイドライン変更による対応不備が出ないよう、気をつけていくしかありません。

細かい規定を把握することももちろん重要ですが、制度の本質を理解し、どのようにすれば消費者庁、ひいては消費者にとってわかりやすく、適切に整理された届出資料が作成できるのかを考える必要があるのではないでしょうか。

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